
こんにちは!ブライダルアドバイザーのEmikoです♪
今日も、ウェディングプランナーの経験や自身の結婚式での経験を交えながら「日々頑張るプレ花嫁さんのお力になりたい!」その一心で、お役立ち情報を配信していきます!
今回のテーマは、「ISUMって何?!著作権について!」です。
結婚式の打ち合わせが始まると耳にする「ISUM(アイサム)」。
とにかく使用しなければならないらしいけど・・ 実際よく分からない!そんな方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、今回はISUMの基礎知識からいざ使用する際の手順までを「ここだけ押さえておけばOK!」という部分のみシンプルに解説していきたいと思います♪
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【基礎知識】何故結婚式で自由に音楽が使えないの?
そもそも、結婚式は家族や友人が集まって行うイベントであって「私的利用になるのでは?」と疑問に思いますよね。
しかし、実は結婚式場は多くの人が集まる場であること、また、どのシーンでどのBGMを流すかなど検討した上で「BGMを一つの演出として提供」していることから、私的利用ではなくて営利目的での使用と判断され、商用利用に当てはまります。よって「音楽を流す」だけでも許可が必要になるのです。
【基礎知識】著作権とは?“知っておくべきコトだけ”解説
市販されている楽曲1曲1曲には、作詞・作曲をした人が持つ「著作権」と、レコード制作者・演奏家(アーティスト)が持つ「著作隣接権」という権利が存在します。
結婚式場で音楽を利用するには「著作権」「著作隣接権」それぞれの許諾を得なければいけません。
著作権を持つ著作権者は、楽曲を演奏するアーティストや録音したレコード会社などです。
★著作権とは?
楽曲の作詞者と作曲者に与えられる権利が「著作権」です。著作権者(作詞者・作曲者)は、その楽曲自体に権利を持っています。
要は、「第三者の楽曲使用を制限できる権利」です。(第三者が単にその音楽を聴いたり楽しむ行為までは制限できません)
★著作隣接権とは?
「著作隣接権」は、楽曲を録音する際に演奏・歌唱した実演家(アーティスト)や、その音源を録音し原盤(マスター音源)を制作したレコード会社などに与えられる権利です。
著作隣接権の権利者は、録音された「音」に対しての権利を持っています。
尚、実演家(アーティスト)の権利については、通常はアーティストからの権利譲渡により、レコード会社が管理していることが多いので「著作隣接権」は概ねレコード会社がまとめて管理しているのが実状です。
■挙式や披露宴で好きな音楽を流す⇒「演奏権」
結婚式場で好きな曲を流す場合、許諾の必要な支分権は「演奏権」という権利です。
この支分権は「著作隣接権」には含まれていないので「著作権」を持つ権利者(作詞者・作曲者)にのみ許可を取れば使用可能になります。
「著作権」の「演奏権」はJASRAC(ジャスラック)に許可を取ります。JASRACは皆さんも聞き覚えがありますよね。
式場がJASRACと契約していれば自由に流してOK
通常であれば、CDを商用利用で流す場合は、JASRACに対して利用の都度に「演奏権」の申請手続きを行う必要があるのですが、結婚式場のように頻繁に音楽を利用する施設は、どのような曲をいくら流してもいいように、あらかじめJASRACと包括契約を結んでいる場合がほとんど。
この包括契約があれば、好きな曲のCDを問題なく流すことができ、都度手続きを行う必要もありません。まずは、お二人の結婚式場がJASRACと包括契約を結んでいるかどうかを確認してみると良いでしょう。
包括契約があれば、好きな曲のCDを流すことについて、お二人が特別な手続きを行う必要は無くなります。
※ちなみに「演奏権」は余興でバンド演奏を行うような場合も当てはまりますので、包括契約があれば生演奏も問題ありません。
■ムービー作成でDVDに収録したり、CDに複製する⇒「複製権」
結婚式場がJASRACと包括契約を結んでいる場合でも、手続きが必要なものがあります。それは、「複製行為」を行うケースです。
前項でお話しした「演奏権」は、音楽を流す権利のみの契約です。
CDや配信の音源などをコピーしてムービーなどを作成する場合「複製権」という支分権の手続きが必要になります。
★「複製」とは?
実際に結婚式で音楽を利用するにあたって「複製」にあたるのは、主に下記3つです。
① 挙式や披露宴で音楽を流すために、好きな曲を集めたオムニバスCDを作成する場合
② プロフィールムービーなどの映像にBGMとして市販の音楽を収録する場合
③ 記録ビデオで当日の様子を撮影する場合(会場で流れる音楽がビデオに収録されるので、複製行為にあたります)
★「複製権」とは?
著作権法において「複製」とは、「作品を複写、録画・録音、印刷や写真にしたり、模写(書き写し)したりすること、そして電子的に読み取ること、また保管すること」などを指しています。(出典:日本複製権センター)
この「複製」に係る権利である「複製権」は、著作権法上2種類あります。
一つは、「ある著作物の著作者だけがその著作物を複製することができる」とする権利であり、もう一つは、「あるレコードの製作者(レコード製作者)だけがそのレコードを複製することができる」とする権利です。これらはどちらも独占排他的な権利です。
■複製権の手続きは、式場・業者任せで「ISUM」に申請しよう!
一個人がJASRACやレコード会社へ直接申請するのはとても大変。
そこで、上記①~③に関する利用申請を代行してくれるのが「ISAM」という団体です。
【基礎知識】ISUMとは?
ISUM(アイサム)とは、2013年に設立された、結婚式で音楽をコピーして利用するときに必要となる手続きの代行をしている団体(一般社団法人音楽特定利用促進機構)のこと。
結婚式や披露宴等のウェディングシーンにおいて、市販音源を複製利用する際に必要となる「複製権」(著作権・著作隣接権)の利用手続きについて、ブライダル事業者の代行をしています。
■ISUMで利用手続きが可能な楽曲について
ISUMを通して利用手続きが可能な楽曲は、ISUM楽曲データベースで検索が可能です。
データベースには、著作権・著作隣接権の各権利者より「複製利用の許可が得られたもの」が登録されています。
尚、ISUMへ申請を行う際に大事な点があります。
それは、ISUMの「楽曲データベース」に登録されている曲しか申請できないということです。
このデータベースに登録されている楽曲は、権利者がブライダルでの複製利用を許可したものですが、登録のない曲は、その時点では権利者の「複製権」の許可が得られていない曲となり、ISUMを通しての申請ができません。
【基礎知識】ISUMを使うメリットは?
前項でお話しした通り、市販音源を複製利用する場合、利用者はその楽曲の利用手続きを行う必要があります。
まず、著作隣接権者(レコード会社等)に利用の可否と使用料を照会→利用可能な場合は「著作隣接権」と「著作権」の利用手続きを行い、初めて楽曲の複製利用をすることができます。
しかし、楽曲ごとに異なる各権利者にそれぞれ連絡して手続を行うことは非常に負担が大きく、これまでは利用をあきらめざるを得なかったケースもありました。
ISUMを利用するメリットは、そのような煩雑な確認作業、申請から支払いまでを一括処理且つ、定額で利用できる点です。
■権利者に無断で市販音源を複製するとどうなるの?
権利者に無断で市販音源を複製した場合、当該行為は「著作権侵害」に該当します。したがって、現在のところ、著作権侵害は、被害者である著作権者が告訴することで侵害者を処罰することができる「親告罪」ですので、以下のような罰則規定が定められています。
・著作権及び著作隣接権の侵害は10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金またはその両方
・著作者人格権及び実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金またはその両方
【攻略法】ISUM利用方法
ISUMへの申請は個人単位では受け付けていません。
ISUMは結婚式場や映像制作会社など事業者との契約がほとんどです。そのためお二人からISUMに直接申請することはありません。
基本的に使いたい曲の候補がきまったら、式場の担当プランナーさんに相談を。
ISUMの楽曲データベースに入っていれば、問題なく使用することができます。
① 使用したい楽曲を決める
↓
② ISUMの楽曲データベースに入っているか確認
(こちらで確認⇒
https://isum.or.jp/music/?from=header
↓
③ ISUMの楽曲データベースに入っていたら、使用曲のリストを式場へ提出
↓
④ 式場や映像制作会社を通して申請を行う
↓
⑤ 結婚式当日の使用OK✨
ISUM楽曲データベースにない音楽はどうするの?
① ISUMに「楽曲リクエスト」をする
結婚式で使用したい音楽がISUMの楽曲データベースにない場合には、ISUMに「楽曲リクエスト」をします。
専用フォームに必要事項を入力すれば、リクエストが出来ます。ただ、リクエストをする上で注意したいのは、
1. リクエストしたからといって、全ての曲の許可が下りるわけではない
2. 許可が下りるまでは最低でも1カ月かかる
3. リクエストが通ったかどうかは、データベースで把握する必要がある
ということです。
結婚式当日に間に合わなければならない中で、いつ許可が下りるか分からない上に、そもそも許可が下りない可能性もあるので、リスクは伴います。申請が通らない可能性を加味し、ISUMデータベースの中から曲をリストアップしておくと安心ですね。
② 映像と音楽を同時に流す
音楽を演出ムービーに取り込まず、結婚式の本番のとき映像を流しながら式場で当時に音楽を流すのは『演奏権』に触れることになり、著作権問題はクリアに。
例えばプロフィールムービーなら、同時に流したい曲に合わせて制作すればOKです。
複数曲を使いたい場合には、何分何秒で切り替えたいのか事前に確認し担当のプランナーさんに伝えておけば、結婚式当日担当してくれる音響担当者へ引き継いでくれるでしょう。
③ 原盤CDを持ち込む
ISUMの楽曲データベースに希望の曲がない場合はCDを購入し式場に持ち込めばOKな場合も。
ただし配信のみを行っている曲はCD-Rに取り込んでしまうと、複製権に触れてしまうので注意が必要です。
④ 諦める・・・
登録リクエストを「拒否」された場合、個別に「JASRAC」と「RIAJ(日本レコード協会)」に依頼する事も可能ですが、邦楽で1曲3~5万、洋楽で1曲5~10万円程度の費用がかかる上に時間も要することからあまり現実的ではありません。
②③に関して、どこまで対応可能かなどは式場により異なります。
厳密にルールにのっとっている式場もあれば、そうでもない式場もあるのが実情です。
式場へ事前に必ず確認をしておきましょう。
【参考文献】
一般社団法人音楽特定利用促進機構 https://isum.or.jp/
つたえるウェディング https://profilemovie.endrollmovie.com/isum_nolist/#
ココロスイッチ https://www.kokoro-switch.com/
おわりに
いかがでしたでしょうか?
著作権に関して調べていると、知らない文言ばかりでなんだか難しく感じますよね。
ですが、今回お話しした通り、結婚式に好きな楽曲を使用するためのルールは、意外とシンプルです。
特に、式場のスタッフさんはしっかりと知識がありますので、お二人で先走ってしまう前に、必ず式場へ確認をしましょう。
結婚式のムードを作り上げるために欠かせないアイテムであるBGM。
「絶対にこの曲を使いたい!」などこだわりがある方は特に、早めのピックアップと確認をオススメします!
文/Emiko(コラムニスト)